製薬企業での試験業務はどういうことをするのか?経験がなくてもできるのか?

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こんにちは、pokoblogです

今回は、製薬企業での試験業務内容についてご紹介していきたいと思います

この記事では創薬などの研究業務や開発業務ではなく、製薬企業ではとにかく医薬品製造過程でのあらゆる工程で試験業務が発生するため、それらの試験業務についてピックアップしてご紹介したいと思います

  • 試験業務経験経験がない
  • 理系出身だけど科学系の分野ではない
  • 製薬企業に入ったら研究開発に携わりたいけど自信がない

という方はぜひ参考にしてみてください☺︎

✏️この記事で紹介していること✏️

  • 製薬企業での試験業務はどういうことをするのか?
    →そもそも試験業務って?
    →試験の種類
    →難易度
  • 科学系出身じゃなくてもできるのか?
poko
poko

この記事を書いているわたしは、化学系の理系学部出身で、製薬企業勤めです!

めちゃくちゃフレッシュな試験業務経験から、徹底解説したいと思います(`・ω・´)

また、学部卒でも製薬企業に就職できるのか?どういう仕事ができるのか?ということについてピックアップして経験談をもとに解説している記事もあるので、合わせてお読みいただけたらと思います☺︎↓↓

学部卒でも製薬企業に就職できるのか?【学部卒理系女子の体験談】

『製薬企業勤めなんだ〜』なんて言えたらなんだかかっこいいので、憧れている方も少なくないはず 現在就職活動中、もしくは就職先を検討中の方の中にも、製薬企業を目標にしている方も多いのではないでしょうか しかし一方で、 というイメージがあるのが実情 そこで今回は、大学学部卒でも製薬企業に就職できるのか?どういう業務ができるのか?ということについて、学部卒理系女子で製薬企業勤めの経験談 …

製薬企業の試験業務はどういうことをするのか?

製薬企業で実験をする女性

製薬企業のイメージとしては、研究開発業務で白衣を着て実験室でいろんな実験をしている…というようなイメージですよね

実際その通りなのですが、もちろん中には製薬企業特有の試験法もあるため、他の実験室にはないような測定機器や機械などが多数存在します

理系男子
理系男子

じゃあやっぱりそれなりの経験がないとできないってこと?

いえいえ、その真逆なのです!

みんな学生時代や他社での経験がないからこそ、みんなが初心者のため、『誰が突出して仕事ができる』という考えなしで始められるのです…!

理系の学生なら、たとえ専攻が科学系じゃなかったとしても、誰しもがどこかしらの段階の学生実験の中で基本的な実験器具の使い方や操作方法はなんとなくわかっていると思います

それらさえわかっていれば完璧。あとはそれらを応用していくのが製薬企業における試験業務なのです

理系女子
理系女子

経験がなくてもできるのは分かったけど、そもそも製薬企業の試験業務ってなんぞや…?

続いて、製薬企業の試験業務とはなんなのか…どういうタイミングで試験業務が生じるかについて解説していきたいと思います

そもそも試験業務って?

クリーンベンチ内で作業をする人

そもそも製薬企業での試験業務とはなんなのか?という疑問について

製薬企業のおおまかな業務の流れとしては、薬の開発、製造、販売があります

そして、開発から直接お客様(患者さん)の手に届くまでの一連の流れのほぼ全ての工程において、医薬品の安全性や品質に問題がないか?ということを確認するための試験を行うのです

いわば検品作業のようなものですが、医薬品はその特性上、他の製品よりも身体に与える影響が大きい(良い意味でも悪い意味でも)ため、より厳密に、正確に品質を保証するためにも、これでもか!というくらい試験業務を行なって品質をチェックしていかなければなりません

poko
poko

製薬企業に入ってまず、しなければいけない試験数の多さに驚きます

試験をするタイミングについては、ものすごく大きくわけると2つに分けられ、1つ目は医薬品を申請する際に申請書につける安定性のデータとして取るものと、申請後承認を得た医薬品を販売用に実際に工場で製造し、販売前の最終的な品質の安全性を確認(品質管理)するために取るものとがあります

理系男子
理系男子

待って、申請って…?

まず申請時の安定性のデータについてですが、ここで、他の企業と製薬企業とで大きく変わってくることが、製薬企業では製品(医薬品)を製造・販売する際に必ず厚生労働省の承認を得た方法でないと製造・販売することができないということです

申請は医薬品1種類ごとに作成しなければならず、その中身としては、大まかに以下のようなものが記されています

  • どこの原薬・原料を使用するのか?
  • どういう製造方法で作るのか?
  • どういう試験方法で試験するのか?
  • 安定性試験などの試験結果

ここで今回関わってくるのが安定性試験などの試験結果という項目なのですが、医薬品は申請をする際に、あらかじめガイドラインで決められたさまざまな保存条件・保存期間を経た検体の分析をすることで安定性を見て、そのデータを申請書に添付して初めて申請することができます

poko
poko

いくら良い効能の医薬品ができたとしても、安定性が担保できなければ売り出すことはできません

より詳しく申請時に必要な安定性試験の概要について知りたい方は、安定性ガイドラインについてを確認いただければと思います

そして次に製品の品質の最終確認の位置付けの品質管理ついてですが、医薬品は申請時(まだ世に出回る前)にも安定性を担保していますが、それはあくまで実際の製造スケールよりも小さいスケールで製造されたものであったり、試験用に製造されたいわば販売するためのものでない製剤だったりします

一方で品質管理を行う製剤は、実際に販売するために製造されたものであり、品質管理試験を突破したものがようやく世に出回るため、品質管理業務では品質の良くない製剤を出荷しないための最終関門ともいえます

品質管理業務として確認する項目は、主に以下のようなものがあります

  • 使用する原料・原薬が適正な品質かどうか?
  • 製造工程内の中間品に問題はないか?次に進められる基準を満たしているか?
  • 最終製品の品質に問題はないか?

そしてこの品質管理業務は、徹底された管理体制・環境で行われなければなりません

poko
poko

GMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)遵守が義務付けられています!

ここで挙げた以外にも、開発段階の試作品の試験をしたり、医薬品の新規申請以外にも、たとえば原薬メーカーの追加や製造所の変更など、申請時の条件から変更をする際にも厚労省の承認を得なければならず(一部変更申請)、この申請にも試験データが必要になってくる場合があります

理系女子
理系女子

いろんなタイミングで試験をしてるんだね…

じゃあ実際どういうことをしているの?

続いては試験の種類についてご紹介していきます

試験の種類

実験をする女性

それでは、ここから製薬企業における主な試験の種類について簡単に解説していきたいと思います

試験の種類

  • 確認試験
  • 溶出試験
  • 定量試験
  • 純度試験(類縁物質)
  • 含量均一性試験
  • その他示性値など

確認試験

確認試験では、製剤の中に有効成分である原薬が間違いなく入っているかということを確認します

有効成分の化合物と類似した化合物(化合物の形が似ているもの)とでしっかりと識別できるような試験方法が必要になってきます

そのため、一括りに確認試験といっても、製剤の種類によって試験方法は様々で、化学的に特異的な反応を利用したもの、分光分析(UV、IR)によるもの、分離(HPLC、GC)によるものなどさまざまです

poko
poko

製剤によっては、複数の類似した化合物との分離をするために、複数種類の確認試験を実施するものもあります

また、他の試験ではどれくらいの含量含まれているのか?やどれくらいの割合溶出するのか?といった具体的な数値のデータを算出しますが、この確認試験ではそういった数値を見るのではなく、あくまで目的の物質が特定されるかどうかを見ています

溶出試験

その名の通り、医薬品の溶液に対する溶出性を見る試験です

島津製作所溶出試験機NTR-6600AST型

上の画像のような溶出試験機と呼ばれる機械を使用して試験を行なっていきます

丸底の容器のベッセルと、その中央に金属のパドルがついており、その周りに伝熱線と水が満たされており周りから温度が上がる仕組みになっています

試験の方法としてはベッセルの中に規定の量の試験液を入れ(量や試験液の種類はあらかじめ製剤ごとに規定されています)、人の体温と同じくらいの37度付近に温めて、その中に製剤を入れたときの溶出具合を確認します

poko
poko

体内での溶出の挙動を、実験室レベルで確認するための試験です!

製剤ごとで規定された試験時間行い、規定された溶出率が確認されれば適合とされます

また、最終的な溶出率の他に溶出の挙動の確認も同時に行うことができます

定量試験

定量試験では、製剤に有効成分である原薬が100%(規定された量)入っているか確認する試験です

たとえばある錠剤で、5mgの有効成分を含有しているというものであれば、しっかりと5mgの有効成分が含まれていれば含量100%の結果が得られますが、4.9mgしか入っていない場合や5.2mg入っている場合だとそれぞれ含量が98%、104%と含量にばらつきがあることが確認できます

poko
poko

しっかりと決められた量の有効成分が入っているか確認するのは非常に重要なことです!

単純に有効成分の含量を量るのはもちろんですが、たとえば安定性試験として過酷な条件に置いた製剤だと、有効成分の化合物が分解して違う物質(類縁物質)が生じることがあります

そういった場合に定量値が下がって行く傾向が見られれば、分解して行っているという考察もできるので、定量試験はほぼ必須の試験項目ともいえます

純度試験(類縁物質)

純度試験とは、製剤の不純物の量を確認する試験です

医薬品は身体に入る以上、有効成分以外の余計なもの(不純物)はなるべく含まれないに越したことはないのですが、製造する過程上少なからず含まれてしまいます

そこで、医薬品に含まれる不純物の限度値をあらかじめ設定し、不純物の量が規定値以下か確認する目的で試験を行います

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poko

限度値の設定の仕方も、全てガイドラインに則って行われます!

また、安定性試験中に有効成分が分解することで増えるそのほかの類縁物質の増加傾向も確認します

含量均一性試験

含量均一性試験では、製剤1つ1つの有効成分にばらつきがないか確認するための試験です

たとえばある錠剤2錠を見た時に、一方は含量100%含まれているのに対し、もう一方は90%しか含まれていないといったことが起こると、たまたま手にした錠剤によって効能に差があるということが生じてしまいます

製造の過程上で偏ってしまう…ということは絶対にあってはいけませんが、そういったことがあっても絶対に世に出さないためにも含量均一性試験は大切です

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poko

飲んだ薬に有効成分0%…なんてあってはならないことですからね

その他示性値など

その他の試験項目として、製剤の性状を確認したり、水分値を測定したり、示性値(旋光度や吸光度、pHなど)を測定したりします

また、上記でご紹介してきた試験項目が全てではなく、他にも製剤によってはより複雑な試験や沢山の種類の試験が存在します

poko
poko

それくらい医薬品の安全性のためには試験項目が多いということです!

難易度

壁に掲げられたdon't panicの文字
理系女子
理系女子

どれもやったことない試験ばっかりだし、難しそう…

ここまでたくさんの試験項目をご紹介してきて、中には聞きなれない言葉や機械が出てきたことで不安に感じている方もいらっしゃるはずです

でも安心してください!

たとえ理系出身の学生だったとしても、製薬企業で行われる試験をしたことのある人はほとんどいないのです

つまり、始めるときは全員が初心者ということです!

そのため、逆に気負いせずに『どうせ初めてやるんだから失敗しても大丈夫!』、『同じレベルからのスタートだから自分だけ置いていかれる心配がない』という気持ちでいられます

もちろん、申請や出荷判定に使われるデータを取れるようになるまでには何度も練習が必要ですが、基本的な実験器具の使い方さえきちんと分かっていれば問題ありません

理系男子
理系男子

俺理系だけど、計算とか化学式が苦手なんだよな…

実験につきものな計算や化学式が苦手な方でも、製剤の試験をする上ではほとんど問題ありません

製剤の試験は、あらかじめ申請された方法や日本薬局方に定められている試験方法を使用する為、試験するために自分で何か計算したり、方法を考えたりしないといけない!ということは基本的にありません(試験法を検討する部門ももちろんあります)

ほとんどの製薬企業では、あらかじめ決められた試験方法(文章によるもの)をわかりやすくフロー化された書式を使って、それに沿った試験をして行くので、多少の計算はあるかもしれませんが理系や計算が得意ではない方でもできるようなものがほとんどです

poko
poko

製剤の試験は、良くも悪くも『あらかじめ決められた方法でしかできない』のです

初めての試験、計算や化学式が苦手、といった不安がある方も、とにかく実験器具の基本的な使い方がわかっていれば大丈夫です!!

科学系出身じゃなくてもできるのか?

実験台の前で笑顔で腕組みする女性

製薬企業で試験業務に携わるのはおそらく理系のみなさんだと思いますが、学部によっては機械系だったり情報系だったり、“理系”と一括りに言っても必ずしも科学系出身とは限りませんよね

たしかに、製薬企業に入って試験業務がしたい!という方は科学系出身の方が多いかもしれませんが、中にはそれ以外の分野の方もいらっしゃるはずです

それでは、そういった科学系以外の学部出身の方でも試験業務はできるのか?という疑問についてですが、答えはおおよそYESです

先程もご紹介したように、基本的な実験器具の使い方さえわかっていれば、試験内容は分からなくて当然なので問題ありません

基本的な実験器具といっても、各種ピペットの使い方やメスアップの仕方、器具の持ち方などは自分の専攻分野問わず、義務教育で習う内容がほとんどです笑

しばらく実験から離れていたという方でも、おそらく基本的なことは分かっているのではないかと思います

poko<br>
poko

学生実験では使わないスケールのビーカーやフラスコ、オートのピペッターなど様々ですが、基本的な用途は同じです笑

実験器具のあれこれについて、全くもって忘れてしまって右も左もわからない!という方だと少々難しいかもしれませんが、基本的にそれらがわかっていれば専攻は問わずに誰でもできる内容だと個人的に思います

憧れの試験業務を!

理系女子
理系女子

製薬企業の試験業務って、責任ある仕事でかっこいいね!

理系男子
理系男子

未経験の分野だから不安に思っていたけど、なんだか自信がでてきた

この記事をよんで少しでも製薬企業の試験業務について知っていただき、不安を取り除いていただけたら幸いです☺︎

また、この記事以外にも、仕事での上手い立ち回り方などもご紹介していますので、ぜひ併せてお読みください♪

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ここまでお読みいただきありがとうございました!

おしまいっ

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