学部卒でも製薬企業に就職できるのか?【学部卒理系女子の体験談】

仕事&資格取得

製薬企業…いい響きですよね

『製薬企業勤めなんだ〜』なんて言えたらなんだかかっこいいので、憧れている方も少なくないはず

現在就職活動中、もしくは就職先を検討中の方の中にも、製薬企業を目標にしている方も多いのではないでしょうか

しかし一方で、

  • 製薬企業は良い学歴がないと入れないイメージ
  • 研究開発業務をするには修士・博士課程を修了していないとダメ
  • 文系だとそもそもお門違い

というイメージがあるのが実情

そこで今回は、大学学部卒でも製薬企業に就職できるのか?どういう業務ができるのか?ということについて、学部卒理系女子で製薬企業勤めの経験談をもとに徹底解説したいと思います(`・ω・´)

✏️この記事で紹介していること✏️

  • そもそも製薬企業での業務内容とは?
  • 学部卒で製薬企業に就職できるのか?
    →理系編
    →文系編
  • 【体験談】理系学部卒で研究開発業務はできるのか?
poko
poko

まずは製薬企業での業務内容から掘り下げて解説するので、

  • 製薬企業に興味がある
  • 製薬企業で働きたい
  • 現在就活・転職活動中

と言う方はぜひ参考にしてみてください♪

製薬企業の業務内容

製薬の試験をする女性

製薬企業で働くにあたって、業務内容は大きく分けて4種類あります

製薬企業の業務内容

  1. 研究・開発
  2. 事務
  3. 営業
  4. 製造

研究・開発

実験室で試験をする白衣の女性

言わずもがな、製剤の研究と開発を行う部門です

ただ、一言に『研究開発』とまとめられがちですが、この部門内でもさまざまな業務に分かれています

たとえば、以下に挙げるような業務です

  • 原薬や原料の選定
  • 製剤の設計(研究)・開発
  • 試験法の検証
  • 試作品の安定性のモニタリング
  • 臨床試験による安全性試験

まず原薬や原料の選定についてですが、製剤を作るにおいて、その元となる原薬や原料として何を使うかが決まっていても、さまざまなメーカーのものがあります

コスト面でも品質面でも、最も適しているものを使用するためにも、原薬に関する正しい知識を持った人たちによる選定が必要なのです

そして主に研究職と呼ばれる製剤設計の段階では、医薬品の有効成分となる原薬と苦味を抑えたり溶けやすくしたりするといった効果のある、その他の添加剤(賦形剤)の調合といった、ザ製剤の研究を行います

ただ、ラボスケール(実験室レベルの規模)での試作をするのではなく、ある程度形になった製剤はパイロットスケール(実際の工場での製造工程を反映した予備的な規模)での試作も行います

poko
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パイロットスケールとして、実生産規模の1/10以上又は、10万錠スケールのいずれか大きい方である必要があります!

また、製剤の溶けやすさ(溶出性)や崩壊しやすさ(崩壊性)、1錠に規定量の有効成分が含まれているか(定量)などを調べるための試験をしなければならず、そういった試験法の検証も行います

日本薬局法に収載されている製剤であれば、試験法の検証は必要ないのですが、その他の製剤は各社で試験法を確立せねばならず、その試験法もただ闇雲にやるのではなく、『再現性のある正しい試験法』を確立しなければなりません

poko
poko

試験法の妥当性を調べるための試験もしなければならないのです!

製剤を開発しても、長期間保存して安定かどうかを検証しなければ売り出すわけには行かなので、まずは試作品として、先程の試験法の検証で確立された方法により安定性をモニタリングしていくことも大切な業務の一つです

そして全ての試験において規格に適合し、安定性も担保され、もう患者様に提供できる!という状態にまで持っていって初めて臨床試験(人に投与する試験)に持ち込まれます

このように、研究開発一括りといっても、原料の選定をする人、0から1を作り出す研究をする人もいれば、作り出された1を世に届けられる形にするべく画策する人、安全性を確かめるための時間をする人など、さまざまな業務から成り立っているのです

事務

パソコンを触りながら笑顔を向ける女性

製薬企業とはいえ、やはり事務職は必要で、経理・人事・総務・法務・広報といった業務を行います

製薬企業で働きたいけど文系出身…という方でも、特別な技能や資格の必要ない事務職であれば挑戦することができます

製薬企業と言っても経理や人事の仕事は格段他の業種の企業と変わらないかもしれません

ただ一方で、他の業種の企業と圧倒的に違うと言えば法務部についてです

医薬品には、その研究開発過程のデータや製造方法に様々な特許が課せられます

つまり、医薬品は知的財産なのです!

これらの技術、知的財産の権利が侵されないようにするためにあるのが、製薬企業の法務部なのです

poko
poko

わたしも製薬企業に勤めるまで知らなかったのですが、製剤1つに対しても、ものすごい種類の特許が存在するのです…!

営業

営業マンの必須アイテムたち

製薬企業の営業はMRと呼ばれ、医薬品を医師など医療関係者へと医薬品情報と共に届けることが仕事です

医薬品には2種類あり、病院で処方される『医療用医薬品』と、ドラッグストアなどで手に入る『一般用医薬品』とがあり、MRが扱うのは前者の医療用医薬品となります

医薬品は命や健康に直結するものであり、お客様(医療関係者)に医薬品情報を正確にお伝えしなければならない職業なので、MRになるためには医薬品に関するかなりの知識が必要です

poko
poko

一般的な営業は“売ること”が目的かもしれませんが、MRはどちらかというと“医薬品情報の提供”という役割が大きいと言えます

MRになるための必須の資格というものは必要ないものの、どこの製薬企業でもMR認定試験というものを取得しないとMRになれないようです(資格がなくてもMR自体にはなることができます)

そのため、大学時代に薬学を学んでいない人、文系の人でもMRを目指すことは可能です

製造

工場内で働く人々

もちろん医薬品を製造するのは製造部門の役割です

ただし、身体への影響・効果の大きい医薬品の特性上、製造工程や製造現場は一般的な製品に比べてより厳密に、徹底的に管理されていると言えます

その証拠に、医薬品の製造にはGMPと呼ばれる製造管理・品質管理基準の遵守が義務付けられています

そのため、一般的に想像される工場よりも清潔だったり室温が一定にが保たれていて快適と言えるかもしれません笑

ただし一方で、人による異物の混入を防ぐために身なりの徹底(髪の毛、化粧、爪の長さなど)が厳しいのも確かです

poko
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確かな品質のものを作るために厳しい基準が定められているのです

その他

本棚にたくさん並べられた資料

この他、製薬企業特有の部門といえば、薬事部門と学術部門が挙げられます

薬事部門では、医薬品の申請に関する法的な業務を行います

医薬品を製造・販売するためには、厚生労働省に申請を行い、承認を得る必要があります

こういった医薬品の新規申請を行ったり、承認済みの医薬品の申請内容を一部変更する一部変更申請・軽微変更などの手続きを行います

そして学術部門では、世に出回った後の医薬品に関する報告データをまとめあげ、MRがお客様に説明するための資料作成や、MRとの情報共有などを行う部門になります

poko
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これらの部門は、製薬企業ならではといえます

学部卒でも製薬企業に就職できるのか?

大学卒業を喜ぶ男性

製薬企業で働くには、薬学部を卒業しなければならないのではないか…

大学院に行って修士課程を修了しないと開発業務はできないのではないか…

などなど、疑問や不安はあるかと思います

そこでここからは、学部卒でも製薬企業に就職できるのか?就職してどう言う仕事ができるのか?について経験談をもとにご紹介していきたいと思います

poko
poko

この記事を書いているわたし自身、学部卒で製薬企業勤めなのでご安心を…!

理系編

グリーンベンチ内で作業をする人

理系の学部卒といっても、化学・生物学・物理学といった科学系の分野以外にも、機械系・電気系・情報系など様々だと思います

結論から言うと、学部卒でも製薬企業には全然就職できますし、ある程度の開発業務や試験業務は可能だということです

まずは理系の憧れであろう研究開発業務についてご紹介します

研究開発業務

製薬企業といっても先発医薬品(新薬)後発医薬品(ジェネリック)とが存在し、新薬となるとまさに0からの開発となるので医薬品に関する知識がないと到底歯が立ちません

つまり、先発医薬品メーカーで研究開発に携わりたいとなると、学部卒では到底無理といえます

poko
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新薬メーカーで研究開発業務をしたいのであれば、薬学部などで医薬品について習熟していないとほぼほぼ無理です

一方でジェネリック医薬品の開発方法は新薬とは異なり、まず特許が切れた新薬の調査を行い、その中でも開発可能とされた新薬の成分について各社で独自に研究する、という方法がとられています

つまり、簡単に言うとあらかじめ新薬メーカーでベースが築き上げられた医薬品に対して、さらに企業ごとに付加価値をつけるための研究を行うため、新薬に比べると比較的医薬品に関する知識がなくてもできる!という感覚です

poko
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それでもやはり、基本的な知識は必要です!

以上のことをまとめると、製薬企業で研究開発業務がしたい!という理系学部卒の方は、新薬メーカーではなくジェネリック医薬品メーカーであればチャンスはある!!ということです笑

ただし、新薬メーカーでもある程度の下積みを積んだり、薬学部出身や修士卒でなくても研究開発業務に携わることができるところもありますし、逆に修士卒だからといって研究開発業務に必ずしも携わることができるわけではないジェネリックメーカーもあるので一概には言えません

それでも、『薬学部出身じゃないから…』、『どうせ学部卒だから…』と悲観的にはならないでいただきたいです!!

試験業務

製薬企業に勤めると、とにかく試験業務が多いということを知ります

試験業務というのは、医薬品の溶出性や有効成分の含量、成分が分解されて類縁物質が増加していないか、など、医薬品の安全性・安定性を調べるために行います

ただし、この試験というのが医薬品の開発〜製造〜販売後などほとんど全ての工程に必要になってくるので、多くの理系学部生は試験をさせられることになるかと思います

とはいえ、医薬品の安全性のための試験業務なんてやったことないから無理!!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実験器具の基本的な使い方や用途がわかっている理解学生であれば全く心配ありません

poko
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ほとんどの方が学生時代に医薬品の試験経験なんてありません笑

まずは試験業務をしつつ医薬品の開発から販売までの過程や医薬品の性質について学んでいき、仕事をしながら知識をつけて行って将来的に開発業務に携わる、という方も非常に多いのが特徴です

『開発部門に行けなかった!』、『試験業務しかさせてもらえない!』となっても、その過程で知識をつけて将来的に再チャレンジするぞ!という気概でいきましょう!

その他業務

その他、理系出身とはいえ科学系とは無縁の学生であれば、開発はおろか試験業務も難しいかと思います

そういった方は、MRとして外回りをしたり、事務作業を行ったり、薬事部門で申請業務に携わるという働き方もあります

ただし、薬事部門で働くとなるとある程度の医薬品に関する知識が必要にはなってくるものの、しっかりとした教育を受ければものすごくやりがいのある仕事ができるはずです!

poko
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なんたって厚労省とやりとりができちゃうんですから!

理系だからといって、研究開発などの実験的な業務ばかりを行うのではなく、MRや事務としても幅広く活躍できます

文系編

本を読む女性の後ろ姿

製薬企業は白衣を着た理系出身者たちが研究開発に勤しむ場所…なーんていうのは偏見で、もちろん文系の方も大活躍できる場所です

たしかに、一見製薬企業の花形のように思われる研究開発業務は文系出身だと難しいですが、縁の下の力持ちである事務職や、かなり人気の高いMR、製薬企業の真の花形である薬事部門として活躍できます

たとえば、経理部門として会社の財経を支えたり、人事部門として会社の人事を管理するという、学生時代の知識や経験をフルに活かした仕事ができます

また、製薬企業の営業職であるMRはかなり人気が高く、求人も多い傾向にあるので『文系だけど医薬品に直接携わりたい!』という方に向いていると思います

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MR認定試験に合格できればさらに自身にも繋がりますね

そして、個人的に製薬企業の一番の花形といえるのが申請業務を担う薬事部門であり、こちらは文理問わず業務を行うことができます

国に申請して承認を得ないと販売できない製品というのは医薬品くらいで、他に例が無い分なかなかその感覚・厳しさというものに慣れられないかもしれませんが、それくらい重要で責任ある仕事ができるというのもこの部門の特徴です

poko
poko

文系でもめちゃくちゃ業務に携われるのです…!

【体験談】理系学部卒で研究開発業務はできるのか?

さまざま実験器具

ここからは理系学部出身として製薬企業に就職したわたし自身の経験談から、理系学部卒でも研究開発業務はできるのかということについてご紹介したいと思います

結論から言うと、製薬企業で研究開発業務がしたいのであれば、先発医薬品メーカーではなく後発医薬品メーカーを選びましょう!!

先程、学部卒でも製薬企業に就職できるのか?という項の理系のところでも解説しましたが、先発医薬品(新薬)と後発医薬品(ジェネリック医薬品)とでは、医薬品の研究開発に必要な知識量にかなりの差があります

新薬開発はまさに0から1を作り出すため、薬学部出身など、薬学に精通していないとなかなか難しいものです

一方でジェネリックはといえば、いわば既製品の医薬品にさらに付加価値をつけるという研究です

つまり、医薬品の要となる原薬そのものよりも、他の添加剤(賦形剤)の配合比や別のものを使用するといった創意工夫がメインになってくるので、薬学に精通していない人でも行いやすいのです

poko
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それでも、健康や命に直結する医薬品なので、全く知識がない人がなんでもできるわけではありません!

新薬メーカーで研究開発業務に携わろうと思うのであれば、薬学部出身というのはほぼ必須で、企業によっては修士課程修了さえも必須要項の場所もあります

そういった企業で薬学ではない学部卒で入社したのであれば、薬事部門や創薬以外の開発業務での下積みを経てからでないと、なかなから研究開発には携われないと思います

ここからはわたし自身の話を書いていこうと思うのですが、わたし自身は薬学でない学部卒で製薬企業に入社し、部門としては研究開発部門として働いています

ただし、創薬する研究開発業務を行なっているわけではなく、医薬品の承認に向けたデータ取りといった試験業務や、申請資料の作成を手がける、いわば研究開発部門と薬事部門の狭間のような位置です

たしかに、同じ年に入社した同期で、創薬に携わる業務を行なっているのは薬学部出身もしくは薬学部の修士卒の人でしたが、会社の現状を見てみると、わたしのような研究開発部門として試験業務の何年かの実績を積み、開発部門へとステップアップしていく…という方は結構います

poko
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大学で学ばなくても会社に入って学べることもあります!

そういった現状から、『学部卒だし…』、『薬学部出身じゃないし…』と負い目を感じるのではなく、『会社に入ってから医薬品について学んでいこう!』と言う気持ちさえあれば、研究開発に携わることは全然可能だと言う事です!

この記事を読んで少しでも自信を持てたという方がいらっしゃれば幸いです☺︎

ここまでお読みいただきありがとうございました!

おしまいっ

コメント

  1. […] […]

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