こんにちは、pokoblogです
今回は、影山惠子さんの著書『彼女が会社を辞めた理由 夢を叶えた「元会社員」13人の物語』をご紹介したいと思います
本書は題名にもある通り、会社を辞めて新しい人生を踏み出した「元会社員」の13人の女性の「会社を辞めた理由」がまとめられている1冊です
著者の影山さん自身も過去に会社をやめた経歴を持っており、『どうして会社、やめたんですか』と何度も質問を受けたと言います
それも質問してくるのは女性がほとんどで、影山さんは彼女たちが『会社を辞めるきっかけを探しているんだ』と気付きます
そんな彼女自身の、『いったい世の中の人は、何を理由に会社を辞めているのだろう』という疑問からできたのが本書であり、人生に悩み、行き詰まっているすべての女性へのメッセージだと彼女は言います
- 仕事に悩める女性の方
- 今後社会に出る予定の女子学生
すべての女性の心を動かす一冊です
『彼女が会社を辞めた理由』レビュー
『彼女が会社を辞めた理由』
レビュー
読みやすさ:★★★★
内容:★★★★★
行動したい度:★★★★★★
読みやすさ:★★★★
本書に出てこられる13名の女性それぞれが共通して「元会社員」なため、わたし自身を含め読み手と同じ又は近い境遇ということもあり、ついつい感情移入して読み進めていってしまうため、ページを捲る手が止まりませんでした
13人が13人とも全く異なる業種への転身をしていて、読み手である自分と同じような境遇の方の話もきっと見つかるはず!(わたしが一番近いなと感じたのは、大宮エリーさん(後の章で詳しくご紹介します!)のお話です)
会社員から、
- 脚本家
- ランナー
- バーテンダー
- タレント
- 起業
などなど…実に多種多様の転身をしていて、その職種の内容は違えど、家庭での境遇や学歴など赤裸々に書かれているため、13人分の人生のエッセイを一気読みできる感覚です
ただ、それほど多種多様のお話が集まっているため、読み手である自分の境遇とは全く当てはまらない例ももちろんあります
そういったお話も、一つの人生の教訓として読み、13名の方のお話の中で最も感銘を受けたものや、13名の考えの中で自分がいいと思うものだけをピックアップするという読み方もありだなと思いました
こんなにさまざまな職種の女性13名のお話なんて実際にだったら聞くことなんてできないので、貴重なお話だと思います!
内容:★★★★★
まるで13人の女性の人生の先輩方から直接話を聞いているかのような構成で、自分では決して交わることのないような分野で活躍されている方のお話も読むことができ、とても勉強になります
そしてその内容は実に十人十色で個性的で、今の自分の悩みがちっぽけになるくらい辛い思いをして行動している方や、大胆な転職をされている方が多数いて、『自分もやればできるかも!』という気持ちにさせられます(*´-`)
そして13名全てのお話を読んで感じたこととして、意外にもほとんどの方が会社員を辞める前にも何度か転職を経験されているということ!!
わたし自身現在の悩みが『転職をしようかな…』というレベルなので、まずそこに驚きました笑
しかも本書に書かれている女性たちが行動を起こしたのは、ほとんどが『就職氷河期』と呼ばれる時代…
まずその行動力を見習わないとな…と思わされました
一つの会社に長く勤めていたりすると(決して悪いことではないのですが)、そういった転職の話がなかなか耳に入ってこなかったり、周りの人の一体どれくらいの割合が転職をしているかなんてなかなか知ることは難しいものですよね
そういった観点からも非常貴重なお話をたくさん知れるとても有益な1冊といえます
仕事に悩める“今”出会えて本当によかったと思える1冊です
行動したい度:★★★★★★
本書に出てくる13名の女性は、全員が全員前職の会社員とは全く別ジャンルへと転身されていて、その行動力にすごく驚かされます
そしてなにより、転身する前にも何度か転職などで仕事経験が豊富な方が多いこと…!
わたし自身、今まさに転職について悩んでいるのがちっぽけに感じるほどさまざまなことを経験し、それらを糧に人生を切り開いているさまをありありと感じ、同じ女性として『わたしも頑張らないと!』という気持ちにさせられました
現在仕事について漠然と悩んでいる時に本書に出逢い、背中を押された気がしました
この記事を書いているわたし自身も一女性会社員であり、現在漠然と仕事への悩みを抱えている矢先、図書館の本棚でふっと本書を見かけて迷わず手に取っていたのですが、悩める今この時期に、この一冊に出会えたことに感謝しています
特に心に残った4人の女性たち
ここからは、仕事に悩む一女性としてのわたし自身が、特に心に残ったエピソードを語る4人の女性のお話をピックアップしてご紹介したいと思います!
仕事に悩む女性は必見です!
大宮エリー(広告代理店勤務→脚本家)
大宮エリーさんは、転身して脚本家、演出家、作家、映像ディレクター、CMプランナーと幅広く活躍されていますが、元々電通でコピーライターとして、自分の作る言葉で企業商品やサービスをアピールする仕事を7年間送っていました
彼女は電通入社5年目を過ぎた頃から『会社にいる自分について』思い悩むようになっており、というのも5年目ともなると、会社での立ち位置が“中堅”となり、自分のやりたいことだけができる無邪気なだけの自分ではいられなくなっていたからだそうです
コピーライターというクリエイティブな仕事だと、余計に“中堅会社員”という肩書きは自由度を狭めてしまいますからね…
そんな彼女が、会社を退職するきっかけとなったものが、会社でお世話になっていた上司(同じ局の局長)の定年退職の送別会のために制作を依頼された『局長ありがとうビデオ』であり、その内容は、局長をはじめとして、男女様々な人たち(同期、先輩後輩、管理職等会社員はもちろん、局長がお世話になっていたクラブのママまで)に、『会社ってなに?』という問いの取材を行うドキュメンタリーでした
この制作を通して、さまざまな人の意見を聞く中で、彼女の心も変化していったのです
そんな彼女は会社を退職するにあたって、これといって具体的な原因となる出来事があるわけではないらしく(むしろ電通という会社が大好きで、とても良い会社と何度もおっしゃっています)、強いて言うなら会社でホワイトボードに自分の外出先を書くのがすごく嫌だったそうです
彼女は仕事をする上で、社内にいるとどうしてもアイディアがまとまらず、自宅やカフェなど出先で仕事をすることが多かったそうですが、会社では必ずホワイトボードに自分の所在を書かなければいけない決まりがありました
周りの人にいちいち自分の居場所を知られるのがたまらなくいやだったそうですが、組織の一員である限りは組織のルールに従う必要があり、会社は社員の居場所を管理する権限と責任があり、会社員である側は管理される対象なのです
また彼女は同時に、出張手続きも同様にすごくキライだったといいます
管理される“会社員ならでは”の悩みだね
彼女は自身を、『電通という会社は大好きでしたが、“会社員”というものに向かない自分を認めざるを得ませんでした』と語ります
そんな矢先、ひょんな縁から出会った行者に『自分の心に正直に。心のままに生きよ』と言葉をかけられ、最初は無責任だと思いつつも、自分の内側の声に素直に従うことを意識するようになったそうです
そしてしばらく経った時にふっと思ったそうです。
『自分はホワイトボードに行き先を書くのがキライ。出張の手続きがキライ。人から管理されるのがキライ。だったら、会社、やめちゃおう』
彼女は、人が会社を辞めたくなる理由はすごくシンプルなのではないか、と語ります
誰かにとっては大した意味もないことが、自分にとってはとても重大だったように、そういったウィークポイントは誰しも胸の中にあるものだが、とうの本人は気づいていなかったり、気づかないふりをしていたり…あえて気づかないふりをするのは、その本当の気持ちにきづいてしまうのそこにいられなくなってしまうからなのではないか…
彼女の場合はそれが、ホワイトボードであり、出張手続きだったのです
会社を辞めるきっかけは、些細なことでも構わないと思わされますね
自分自身を縛っているのは他でもない自分自身だから、自分の気持ちがうれしいと思えるシンプルな意思決定をすればいい
彼女は、とにかく会社という組織から離れたい一心で退職しましたが、その気持ちを全ての人(とりわけ会社員として頑張り続けている人)には理解されないと言います
そしてそういった人たちには、会社を辞める側の人間は残る側の人たちに対して、その人が納得する退職理由を語る配慮が必要だと言います
そして最低限のマナーとして、その場に残る人たちを否定しないこと。
みんながみんな同じ意見な訳じゃないし、配慮は必要だね
そして最後に、独立するということは一長一短といえるが、人から管理されない立場になったことは自分の性分には合っていたようで、とても気持ちが楽になったと語ります
自分で仕事を始めると、ものすごくリアルにお金の重みを感じ、心配事・不安事だらけでサバイバルな感じはするものの、生きている実感があったそうです
失敗しても諦めず、時間をかけてもチャレンジを続ける。
彼女は焦らずゆっくり生きて、これからも良い仕事をしたいと語ります
谷川真理(元リース会社勤務→ランナー)
谷川真理さんは、転身してランナーとして活躍されていますが、元々はリース会社に勤務していました
高校時代は陸上部に所属し、中距離メインに走っていたのですが、その後専門学校で過ごした2年間、会社員時代の最初の4年間の計6年間は完全に陸上や走ることから離れた暮らしを送ります
しかしある日会社のランチタイムで外に出た時に、皇居周りを走るランナーを見て『私も明日から走ってみよう』という気になり、会社の昼休みに走り始めることにしたそうです
そんなある時、皇居周りを走るランナーの男性から『そんなに速く走れるんだったら、都民マラソンに参加したらどう?』と声をかけられます
そしてその都民マラソンで日本トップになれば、無料でシドニーのシティ・ツー・サーフマラソンに招待してもらえることを知り、『無料でシドニーに行けるんだったら!』とさらに練習を増やしていったそうです
彼女は練習の結果、見事シドニー行きを果たし、その後も数々の海外の大会へ出場し、『市民マラソンの星』と呼ばれるまでになりました
これらの実績を買われ、資生堂からプロランナーとしてのオファーがきて、迷いなくプロに転向したのです
そもそも会社員市民ランナーが実業団に入るというのは、異例中の異例なことなのだそうです!
そして彼女は、陸上と離れた時間があったからこそ、のちの厳しいプロの世界で成果を出すことができたのだと語ります
何より、会社員として補助的で単調な仕事を経験したからこそ、『自分にも、もっと違う生き方があるんじゃないか』と、自分の可能性を探したい葛藤が生まれたそうです
というのも、ほとんどのプロの選手は中学、高校、大学、実業団と陸上だけに全てを捧げる、“純粋培養”ともいえる育成を受けるため、それがベストなのかどうか彼女自身わからないと言います(そもそもプロになれるのもごく一部であり、その後も長い人生が待っています)
このことから、コーチからも、彼女の会社員経験というのは生きるための“免疫注射”と言われたそうです
たしかに…社会人経験をするのとしないのとでは世間を知る意味で全く違ってくるからね
谷川さんの場合、会社員という経験が、よりランナーとしての素質を高めてくれたのかもしれませんね
最後に彼女は、今いる場所に悩む女性に対してこう語ります
人生に『あの時、ああしておけば…』はつきものですが、精一杯自分の力を発揮した上での後悔と、勇気がなくて実行できなかった結果の後悔とでは、後悔の意味が違います。一度しかない自分の人生、だから後悔しない道を選んで欲しい、そんなふうに思います。
プロランナーとして決して早くはない、20代半ばから走り始めた彼女の挑戦があったからこそ今の彼女があるわけで、その言葉の重みがとても響きます
井上由美子(元テレビ局勤務→脚本家)
井上由美子さんは、転身して脚本家として活躍されていますが、元々テレビ東京で営業事務として働いていました
子供の頃からテレビが大好きで、高校時代にはテレビ局で働くことを意識し始めたそうですが、実際働き始めてみると、目指していたドラマ制作の仕事とは無縁の仕事内容で、働き始めて3年目ごろに、そもそも自分の立場ではドラマ制作に確実に異動できないという衝撃の事実を知ったそうです
そこから少しずつ、『ドラマを作りたくて会社に入ったのに、こんな人生でいいのだろうか』というジレンマが生じ始めます
そして悩んだ末に、『辞めるなら、自分にエネルギーがあるうちがいい』と、仕事を辞める決心をします
そして、“ドラマ制作”の中で自分にできそうな仕事として、シナリオを書く仕事、つまり“脚本家”を目指すようになります
そして彼女は、シナリオ講座に通う中でシナリオ作りを経験するのですが、その中で大切な教訓を学びます
それは、シナリオでいう『最初の一ページ』は、何か新しいことを踏み出す時の最初の一歩に似ているということです
というのも、彼女はいつも『最初の一ページ目』にこだわっていて、なかなか先に進めなかったそうです
しかし、講座の先生が口を揃えて言う『まずは一本、最後まで書き上げなさい』の言葉通り、冒頭の書き出しが気に入らないものの最後まで書き進めてみたところ、全体を見直したときに初めて気づくことがあったそうです
何かを始める時も、始めたては『失敗したくない』という思いが強くてなかなか前に踏み出せないものですが、一歩前に踏み出してみると、すごく拘っていたことが実は些末なことだったと気づくことが多い、というものです
たしかに、実際に行動してみて、思い返せばなんであんなに悩んでたんだろってことたまにあるよね
そして彼女は何より、『自分は絶対にシナリオライターになる』という、マイナス思考の一切ない絶対的な自信を持っており、『来た仕事はなんでもやろう!』というハングリー精神も持ち合わせていて、子供が産まれてからも家庭と仕事をしっかりと両立したそうです
そんな彼女の仕事のモチベーションはというと、『書くのが好きだから』、だそうで、何かを始める時のきっかけとして、強烈な体験や強い動機は必ずしも必要ないといいます
実際井上さんは『脚本家になりたい』と思っていたものの、具体的に大きな影響を受けた作品や、目指していた作家などはいなかったそうです
最後に彼女は、一番大切な『今』の想いを大切に、最初はおおらかな気持ちで事に当たって、試行錯誤の中でゆっくりと模索していけばいいのではないか、と語ります
堀木エリ子(元都市銀行勤務→和紙クリエイター)
堀木エリ子さんは、転身して和紙クリエイター、株式会社堀木エリ子&アソシエイツの代表取締役として活躍されていますが、元々は、都市銀行に4年間勤めていました
銀行員時代の4年間というのも、そもそも最初から勤めるのは4年間と決めていたそうで、将来像がはっきりしない中で一つの大学を無理やり選ぶのでは、かえって自分の可能性を狭めてしまうと思い、大学で勉強をする代わりに社会勉強として銀行に勤めると決めたそうです
高校3年生で将来の選択をするなんて難しい話で、わたし自身なんとなくで大学を決めてしまいましたが、同じ高校3年生にして選択ができるなんて尊敬します…
そんな彼女は、銀行員時代のある出会いの縁から、京都で和紙商品を専門に扱う会社に転職することになります
その新しい会社で、実際に初めて見た和紙を漉く職人たちの光景に衝撃を受けたのでした
彼女が『あまりに厳かな光景に、感動を通り越していました』と語るその和紙の伝統ですが、機械で大量生産された類似品の市場参入により、伝統の存続の危機に陥ります
そこで彼女は、この危機的な状況を何とかしなければ、と思い立ち、『私が自分でやらなきゃ』という使命感から自ら和紙の会社を設立したのでした
行動力がすごいね!
周りの人からは『誰からも頼まれていない使命感』と揶揄されたこともあったそうです…
彼女は、会社を設立した当初はお金も人脈もスキルもなく、あるのは情熱だけだったそうですが、後に彼女自身が(起業で成功し)人から依頼される立場になって思うことは、人を動かすのはやはり“情熱”だと言います
そしてなにより、彼女はデザインの勉強をした経験もスキルももちろんなかったのに、現在は会社社長でありながら自らデザインまで手がけています
たしかに!考えてみればすごいことだよね
彼女自身、このことについて驚かれることが多いそうですが、例えば人々が埴輪や土偶を作っていた頃、彼らは大学や専門学校で学んだわけではないように、ものづくりは昔から普通の人が営んできたことであり、人間は誰もがクリエイターだと語ります
そんな考えがあったからこそ、彼女は『自分にもできる』と確信を持てたと言います
そんな彼女も、全てが順風満帆に行ったわけではなく、ようやく自身の会社が軌道に乗ってきたところで早期の悪性腫瘍が見つかったのだそうです
そこで彼女はもしもの時に備えて、残されたスタッフのために仕事における正式な遺言状を作ることにしたのですが、書き出されたあまりに酷な量の仕事を見て、『なんとしても私が生きなければいけない』と力が湧いたそうです
最後に彼女は、『石の上にも三年』という言葉の大切さを語っています
というのも、自分がしてもらったことの恩返しをきちんとやり遂げた上で次に進むためには、3年という期間は最低限必要な期間だと語ります
たとえば会社での仕事であれば、1年目には人から教わり、2年目にはきちんと業務をこなせるようになり、3年目には人に教えるくらいになる、というプロセスだとすれば、たった1年の在籍では教えてもらうだけで、育ててもらった会社には恩を返すことができません
この例え話、今まで聞いた中で一番わかりやすく、心に響くなと感じました…
そして、『やりたいことが見つからない』という人に対して、何も見つからないのであれば、今縁のあることを何でもいいから何か一つ、『生涯かけてやり切る』と決心し、一歩前に進むことの大切さを説いています
たとえ合わないと感じる会社生活であっても、どこに行っても不安や不満はつきものなのだから、しょうがないと覚悟をしてもっと必死になるべきだと彼女は語ります
仕事に悩んだ時に手に取りたい1冊
女性の働き方の多様化が進む今、仕事に悩む女性は大勢いると思います
その悩みというのも、『自分に本当に合っている仕事とは何だろうか』という漠然としたことかもしれないし、『会社で働くことがそもそも向いていない』という気づきかもしれません
そしてそれは、必ずしも働く女性だけではなく、これから働こうとしている女子学生も同じ悩みを抱えている方がきっといるはずです
本書に出てくる13名の女性たちも、みんなそれぞれの悩みを抱え、それぞれの方法で打ち勝ってきました
ましてや、彼女たちの転身した時代のほとんどは、バブル崩壊後の『就職氷河期』と呼ばれる激動の時代で、当時は会社で女性が出世することすら珍しいとされる時代でした
そんな今よりもさらに過酷な時代で自分のやりたいことを切り開いた女性たちがいるのに、より働きやすい時代を生きるわたしたちがなにを悩んでいるんだ!と考えさせられる一冊です
この記事をきっかけに、本書を手にとってくれる方がいると幸いです☺︎
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
おしまいっ
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